2010年8月15日日曜日

十三夜---「月」

それ以上欠けることも 満ちることも知らぬ月が

夜の闇に ぽっかり 浮かぶ。

男が思う。重なり合いながらもひどく
冷たい女の唇によく似ている、
と。
女が 呻く。抱き合いながら見下ろしてくる
冷めた男の眼にそっくりだ、
と。

それ以上欠けることも 満ちることも知らぬ月が

夜の闇に 浮かぶ。
ぽっかり

ぽっかり