

この日も、この場所に彼女が無事に辿り着けるよう、細心の注意を払った。人ごみの少ない駅で待ち合わせ、人の少ない時間を選んでバスに乗り。そうやってここに辿り着いた。
澄んだ空の下、私たちは何を話したわけでもなく、カメラを挟んで向き合う。どう撮ろうかなんて事前に何も話し合っていない。だからすべては気分で決める。
彼女の腕には幾つかのリストカットの痕が在り。青白いほどの肌に、その痕はぷくりと膨らんで残っている。
食べ物を思うように食べることもできないから、彼女はどんどん痩せていく。
ねぇ、私たちの被害って、一体何なんだろうね。
彼女が突然、呟いた。