今望むことは? 何かある?
私が尋ねる。
そうだなぁ、
まず、解離が減ってほしい。
彼女がからからと笑う。
自分が選んで、楽しいとか笑うとか、そういうことちゃんと自分で選んでやっていきたいじゃない。
自分が今生きてるんだなっていう実感が今より少しでもいい、強くなっていってほしいって思うよ。
そう言って、彼女はまた駆けだした。
芝の丘、てっぺんに向かって。ひたすら彼女は駆けた。
私が彼女の名を大きな声で呼ぶ。
彼女はちょうどてっぺんに来たところで立ち止まる。
仁王立ちになった彼女が、そこには在た。
そう、
私たちはそれでも生きる。精一杯。
誰が何と言おうと、毎分毎秒、精一杯、生きている。
これでもか、というほど。