それは台風がこの町にやってきた日だった。
その日、遠い西の町からやってきてくれた彼女が、彼と一緒にうちにやって来た。この日しか三人の時間が合わない。だから台風の中だというのに彼らはやって来た。
夜通し話をして過ごした。その間も、窓の外はびゅうびゅうと風が吹き、雨が激しく窓に叩きつけていた。
無事に撮影できるんだろうか。
いや、できるかできないかじゃなくて、撮影するんだよ。
そんなことを、私たちは言い合いながら、互いを励まし合った。
そしてまだ叩きつけるように降る雨の中、私たちは家を出た。一心にその場所へ向かった。夜明けの時刻だった。台風は直前にこの町を通り過ぎていった。その台風を追いかけるかのように、私たちはただ、森へ向かった。
真っ白な服を。私は彼女と彼にお願いした。森の中で彼女らを撮るのなら、真っ白な服だ、そう思ったからだ。
まだ雨は降っていた。風も強く樹々を嬲っていた。空は荒れ、大気はまるで怒っているかのようだった。
でも何だろう。そんな中で、彼女と彼は凛々しかった。輝いていた。
自然は怒りながら、それでも、彼女と彼を迎えていた。
私はただ、そんな彼らを、追いかけるだけだった。