森の外れまで私たちはいつの間にか歩いてきてしまっていた。足元には層をなすほどの厚い枯葉の群れ。私たちが一足進むごとに、枯葉は乾いた音を立てた。それはまるで、小さな悲鳴のようだった。
この辺りって、多分人は来ないんだろうね。
そうだね、でなければこんなにきれいに枯葉が残ってないよね。
一冬分の枯葉だね。
目を見張るような量だね。
ふと私たちは、窪地で立ち止まった。
そこはまさに一面、枯葉の褥だった。
永久にこの景色は壊れることはないんじゃないかとさえ思えるような、そんな光景だった。
横になってみようか。
そうだね。
かさ、かさかさかさ、がさ。
私たちが動くたび、枯葉が泣く。
かささ、かさささ、がさがさ。
私たちの手足によって、枯葉が崩れてゆく。
そうしてようやっと横になった彼女が言った。
あぁ、空が美しいよ。
真っ青だね。
雲ひとつない。
枯葉はみんな、この空を見上げてたんだろうね。
その時すっと、風が流れた。
それ以外に何の音も何の気配もない、そんな瞬間だった。