砂のように雨が
降っていた
絵のように風が
止まっていた
疼くこの腔を
私はもてあましていた
そう、
腔だらけなのだ 生まれたときから
穿たれた腔なのかそれとも
穿った腔なのか
その境目さえ定かではなく
明らかなのはそこに
腔がある という そのことだけ
腔だらけのまま
私は歩き
腔だらけのまま
私は走り
私は呼吸し、そうして
腔だらけのまま
それでも私は生きている
これでもかというほど
生々しく
それは不幸か
否
不幸だった覚えはない
腔だらけだから、そこに
風が吹いた
腔だらけだから、そこに
雨が吹き込んだ
そこに腔があったから
私はあなたを感じた
私が女だったから
私が女だから
私が
私だったから
ただそれだけ
それ以上でもそれ以下でも何でもない
ただ それだけ
砂のように雨が
降っていた
絵のように風が
止まっていた
目の前の光景はそうして
横たわっていた
そうして私は今も
腔だらけのまま
ここにこうして生きて 在る