娘が貪っているお菓子をすっと取り上げると
娘は火がついたように泣きだします
泣いて泣いて泣いて
泣いて泣いて泣いて
あまりに真っ赤になって泣くもので
鼻血がぶわっと噴き出してきて
わたくしは
拭いてやりながら
己に問うのです
こんなになってまで 何かを
欲したのは いつだったかしら
切なくなってわたくしは
娘にお菓子を渡します
この一切れでもうお終いにしようね、と
娘は涙でぐしょぐしょの
顔を崩して笑んで笑んで
片手でわたくしの腰を抱きながら
お菓子をつついと啄みます
娘にそうして抱かれながら
わたくしはますます切なくなって
そっと娘の腕を離し、己に呟いてみるのです
何かを得て或いは失って
こんなにまで喜んだのは いつだったかしら
いつ だった かしら