2010年4月27日火曜日

朝露に濡れて

朝靄の中、私たちは動き回り、撮影を続けていた。草はみな、朝露を纏っており。裸足で歩く私たちは、瞬く間に濡れていった。
朝露はまるで、草たちの子供のように。はしゃぎ、互いにおしゃべりしながら、転げまわっていた。私たちはその間を、縫うように歩いた。

ちょっと休もうか。
そういって二人座り込む芝も濡れそぼっており。私たちのお尻は瞬く間に濡れていった。それでも何だろう、そのときはそれが、当たり前で、心地よくて、私たちはただそのままに、座っていた。

そうしているうちに、朝靄が、開けていった。徐々に徐々に、透明になり。
そうしてさぁっと現れた陽光は、あまりに眩しくて。
私たちは一斉に目を閉じた。

それまで肌寒かった空気が、一変する。太陽の熱でぐんぐんとあたためられ。
寝不足の私たちに、その空気は、ちょっとあたたかすぎた。やってくる眠気を手で拭いながら、なんか、気持ちいいねぇ、と呟いた。

靄で見えていなかったものが、ぐんぐんと明らかになってゆく世界。太陽の光はすべてを露にしてゆくかのようで。
芝の上、蟻が動き出す。

そうして残ったのは。
彼女と私の裸足の足に纏わりついた枯れた芝草。
私たちがついさっきまで、歩き続けていたことの、証。

そうして太陽は、ぐんぐんと昇り。
私たちはまた、歩き出す。