7月19日、天気が危ぶまれる中、予定されていた野外写真展示イベントが催された。
榎本祐典、塩田亮吾、高橋かつお、にのみやさをり、藤原裕之、横関一浩、山形幸雄、吉田穂積、原田美加子。
これらの写真家が集まり、芝の上に直接写真を並べるというもの。
そこに、舞踏家の竹内空豆さんが特別参加してくださった。
野外展示。写真の野外展示を始めたのは、参加者の中心、榎本くん、藤原くん、山形くんだ。
これまでに三度、すでに野外展示を経験した。
芝に直接並べる、しかも額縁も何もないところで。
だから、コピーで写真を拡大し、できるかぎり大きく引き伸ばして、
通りすがりの誰の眼にもとまるよう、工夫した。
そんな私たちの写真たちは、
めいめいがめいめいのテーマに沿って並べられた。
いつ雨が降り出すかわからない天気の中、空豆さんがやってきて、
順繰り並べられた写真を眺めてくださった。 丁寧に丁寧に。
そして、彼は衣装に着替えると、おもむろに大きな桜の樹の根元に寄り添った。
それが、彼の舞踏のはじまりだった。
しなやかな腕はゆるやかに弧を描き、時にやさしく、時にあらぶりながらうねり続ける。
彼のやわらかな肉体は、これでもかというほど撓り、勢いよくジャンプする。
と、その時、雨が降り出した。
彼は踊り続ける。
私たちは。それを見つめ続ける。
集まった写真家の殆どがおそらく、その時シャッターを切り続けていたに違いない。
それほどに、空豆さんの舞踏は鮮やかだった。
一瞬も、ひとつのしぐささえも、見逃したくない。
そんな思いが、私の中には渦巻いていた。
当日写真から何か感じたら、その何かのまま、踊ってください。
私は事前に、空豆さんにそうお願いした。
その言葉通り、彼は、どこまでも写真にやさしかった。真摯だった。
まるで愛人を見つめるが如くのまなざしでもって、
写真に接し、向き合い、踊ってくれた。
まるで祈りのような舞踏だった。
彼が舞踏を終えた頃には、雨は強さを増しており。
私たちは、イベントを終了した。
写真と舞踏とが、こんなふうにコラボレーションできるとは。想像以上のものがあった。
あいにくの天気で、観覧者はほとんどいなかったけれど。
いい体験になった。
写真家のみんな、そして空豆さん。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。
またいずれイベントやると思います。
その折に再会できることを信じて。
いつか、また。