シャボン玉遊びが大好きな娘だった。
学校の後普段は学童へ行く。
でも私が家で仕事をしている日だけは学童へ行かずこっそり私の家へ戻ってきたりする娘で、そういうときはたいてい、彼女はシャボン玉をひっぱりだしてきた。
ベランダで、ぷー。
外に向かってぷー。
夥しいほどのシャボン玉が生まれては消え、消えては生まれ。
彼女はそのたび、にぃっと笑って手でシャボン玉を追いかけるのだった。
いつごろだろう。
気づいたら彼女は、シャボン玉を卒業していた。
今じゃきっと、彼女はすっかり忘れているんだろう。
そして彼女が子供を育てる頃になって
その子供がシャボン玉に興じる姿を見、はっと思い出す日が来るんだろう。
いつか。いつの日か。