ねぇママ、どうして空は空なの?
そうだね、誰が空に、空って名前をつけたんだろう?
あそこの雲、ペンギンみたいだね。
あぁ、ほんとだぁ。あ、あそこ見てご覧?
どこ?
ほら、あの樹の枝の先。
あ、ヒヨドリ。ばばの家の近くにもたくさんいるよ。
うんうん、たくさんいるね。あ、あの樹は銀杏っていうんだよ。
ママ、臭いよ。
あぁ、それはね、ぎんなんっていうこの小さな実の、潰れた匂いだよ。
臭い臭いっ。
ははは。でも、焼くとおいしいんだよ。
ふぅぅん。ママ、帰ろう。
ん?
おやつ食べたい。
分かった、じゃぁ帰ろう。
おててつないで のみちをゆけば
みんなかわい ことりになって
うたをうたえば くつがなる
はれたみそらに くつがなる
はなをつんでは おつむにさせば
みんなかわいい うさぎになって
はねておどれば くつがなる
はれたみそらに くつがなる
私たちはそうして歌いながら家路を辿る。日も傾き始めた午後。
最後の角を曲がる前に私たちはもう一度見上げてみる。
見上げた先は。