2010年2月11日木曜日

見上げた先は

ねぇママ、どうして空は空なの?
そうだね、誰が空に、空って名前をつけたんだろう?
あそこの雲、ペンギンみたいだね。
あぁ、ほんとだぁ。あ、あそこ見てご覧?
どこ?
ほら、あの樹の枝の先。
あ、ヒヨドリ。ばばの家の近くにもたくさんいるよ。
うんうん、たくさんいるね。あ、あの樹は銀杏っていうんだよ。
ママ、臭いよ。
あぁ、それはね、ぎんなんっていうこの小さな実の、潰れた匂いだよ。
臭い臭いっ。
ははは。でも、焼くとおいしいんだよ。
ふぅぅん。ママ、帰ろう。
ん?
おやつ食べたい。
分かった、じゃぁ帰ろう。

  おててつないで のみちをゆけば
  みんなかわい ことりになって
  うたをうたえば くつがなる
  はれたみそらに くつがなる

  はなをつんでは おつむにさせば
  みんなかわいい うさぎになって
  はねておどれば くつがなる
  はれたみそらに くつがなる

私たちはそうして歌いながら家路を辿る。日も傾き始めた午後。
最後の角を曲がる前に私たちはもう一度見上げてみる。

見上げた先は。