2014年2月20日木曜日

ありがとう


みっちゃんは、つまり。
私にとって、完璧な対象、だった。
もちろん私たちが向き合う時、どうにもこうにもうまくかみ合わないときだってあった。
それでも。
そうしたことを全部ひっくるめて。
彼女は私にとって、モデルを越えた完璧な対象、だった。

彼女は自分の引き際をわきまえており、
じきに私の写真からすうっと消えてゆく。
それでも。
彼女と向き合う中で私が培ったものたちは
私の中に確かなものとして残り、
今もそれは、どくどくと脈打って、いる。

余談になるが。
私は彼女の、何より「眼」が好きだった。
何処までもこちらの中心を射ってくる、鋭いまなざしをもった、その大きな大きな瞳が。
何よりも、好き、だった。

今改めて、言おう。
みっちゃん、私が男じゃなくてよかった。
男だったら、私は間違いなく君に惚れていた。
惚れて、写真など撮れない心理状態に陥っていたに違いない。
私は女だったから、かろうじてそうならずに済んだ、
そうならずに済んだおかげで、君と向きあい、こうして写真を残すことができた。

女であってくれて、ありがとう。
君でいてくれて、ありがとう。

また、君がばぁちゃんになる頃、
ぜひ君を撮らせてほしい。
魅力的な皺を刻んだ君の顔を、
ぜひ。