2010年10月17日日曜日

ガーベラと、

Mちゃんの部屋で、写真を撮っていたときのことだ。
別にヌードを撮っていたわけではないのだが、最初から彼女はキャミソール姿で、女の私から見ても艶かしい肢体を見せてくれていた。ふと、彼女の足を後ろから撮ろうとし、思いついた。ここにガーベラを置いたらどうだろう。

なんでこう、女性の肢体と花というのは似合うのか。
いつも私は不思議になる。ここまで似合う、しっくりくるものも、そうそうないと思う。そしてまた、女性によって、似合う花の質が微妙に異なる。やわらかい花が似合う人もいれば、凛とした花が似合う人もいたり。でも、女性全般、花が似合う。

その夜は、何となく気分で、私たちはガーベラをたくさん買い込んで部屋に入った。
暗い室内灯のみでの撮影で、私たちはいつのまにか夢中になっており、私が足場にちょうどいいと登った便器の蓋にひびが入るという事態が生じたものの、それもさておいて、撮影は続いた。
夜明け前、私たちはすっかりくたくたになって、床につっぷしたのを覚えている。

Mちゃんのやわらかい足の曲線は、ぴんとしたガーベラと実によく溶け合って。
まるで、最初からこの花はここにあったかのようだった。
まるでMちゃんの足を隠れ処にして、咲いている花のようだった。

私たちは、散らかした花たちを撮影後集めて、土に埋めた。
ありがとうね、ありがとうね、と声を掛けながら。
また何処かで会おうね、なんて言いながら。

今頃、あの土の下、ガーベラたちはどうしているだろう。