それは小さな小さな、猫の額ほどの小さな公園で。遊具も少なくて集う子供らも少なく。ただ、空っぽのゴールがぽつり、二つ置いてあった。
犬の散歩に立ち寄る老人たちがぽつりぽつり、そこを歩いて過ぎてゆく。休日たまに、ゲートボールをする老人たちが集っているが、ブランコを揺らす子供の姿は、本当に稀だ。
それでもゴールはそこに在って。
だから私は寝そべってみた。砂の上、寝そべって、ゴールの下寝そべって、見上げてみた。
がらんどうのゴールの向こう、空が広がっていた。からんと乾いた空が、こちらを見ていた。
ゴールが揺れることは、もうないのかもしれないと思えるくらいそれは、がらんどうだった。
それでもゴールはそこに在って。
ただ黙ってしんしんと、そこに在って。
空が在り、風が吹き、樹が揺れて。
それでもゴールはしんしんとそこに在り。