2010年1月27日水曜日

泣いていた


写真に言葉は必要なんだろうか。
多分、必要ないんだと私は思う。
写真が語ればいい。写真から伝わればいい。私はそう思っている。
写真で伝わり切らないのなら、それはもう、その写真を撮った焼いた私の責任であって。それよりほか、何もない。

それでも敢えて言葉を添えようと思うなら。どんな言葉が添えられるんだろう。

あの日、久しぶりに訪れた公園で。
日は燦々と辺りに降り注ぎ。雲は流れ。風は流れ。
心地よいという言葉がとてもとても似合う天気で。

でも木陰で彼女は、泣いていたんだ。
さめざめと、泣いていた。
駆け寄ろうと思った瞬間、もう私はカメラを構えていた。

後で考えれば、残酷だったなと思う。何故カメラなんて持つことなく即座に駆け寄って肩を抱いてやらなかったか、と。
彼女は泣いていたんだ。
たったひとりで。

そうしてこの一枚が、私の手許に残った。
私に誰かの泣き顔は、撮れそうに、ない。