2014年8月6日水曜日

場所



自分がぐらぐらしているとき、私が必ず行く場所がある。それは海だ。
自分を真っ新に戻すのに、海はうってつけの場所だと思っている。
私から海を失くしたら、足が一本折れてしまうのと同じといっても過言ではない。

小さい頃から海が好きだった。
海と初めて出会った日、迷子になって警察のお世話になるほどに、一瞬にして恋に堕ちた。
海はそう、私の愛人だった。

心が折れて、外に出ることさえできなくなった時期、私はひたすら海を思って部屋で過ごしていた。
ああ今ここに海が在ってくれたら私は、どれほど救われるか知れないのに!
そう思いながら泣いた。

世界に立つ場所がなくなってしまうような時でも、
海の傍らになら、赦される気がした。
どんな現実が私に押し寄せても、
海の傍らにだったら、存在していられそうな気がした。

だから。
死ぬと決めたとき、その場所は迷うことなく海だった。
海でなきゃ死ねない。そう思った。
だから私はあの日、海に走った。

でも、海は私を生かし、私はつまり生き残った。
だから今、ここに在る。
あの時生かされた命を、何処まで輝かせられるか、が、
私の海に対する応えだと、そう思っている。

誰にでも。
そういう場所があって、いい。
そういう場所を、探し求めていい。
そしてもし、ここだ、と思えたなら。
誰が何を言おうと、そこはあなたの場所なのだ。

迷ったら、惑ったら、そこへ行けばいい。
現実の世界の誰が何があなたを全否定したとしても。
その場所は、きっとあなたを受け容れてくれるから。

生きろ、生きろ、生きろ・・・

そう、囁き続けてくれるはずだから。