2011年8月17日水曜日

幻霧景Ⅰ-12

気づけばすっかり夜は明けており。燦々と降り注ぐ陽射しが眼に眩しかった。
そろそろ撮影も終盤。三人が三人とも、口に出さないけれどそれを感じていたのだろう。
林の端に位置する小さな丘の中ほどに、一本の樹が立っており。二人はその樹に今寄りかかっていた。
その樹は他の樹とは種類の異なる樹で。一本だけ、大きく大きくそこに茂って在るのだった。

三人共、足の裏はもうすっかり泥だらけで。でも、その泥だらけの足がなぜか心地よいのだった。土は肌にやさしい。私にはそう思える。