2010年6月22日火曜日

「啼」

鯨が啼いた

噴出した血飛沫で
夢は真っ紅

雲雀が啼いた

劈くその声で
夢は真っ二つ

葦が啼いた

囁くその葉音で
夢は木っ端微塵

そうして私は
脚の折れた椅子に
腰掛ける
途端に夢は、あっけなく終わり、

今、誰が見てた?

誰も見ていない
すべては夢だもの
誰も何も見ていない
だから何もなかった
誰も何も聴いていない
だから何もなかった

時の音だけが
唯一の 証人だった
言葉を持たぬその音だけが
唯一の証人だった

だから何もなかった
何も起きなかった
法廷に立つことのできない証人など
いないに等しくて、

世界はそうして
廻り続けてる