
噴出した血飛沫で
夢は真っ紅
雲雀が啼いた
劈くその声で
夢は真っ二つ
葦が啼いた
囁くその葉音で
夢は木っ端微塵
そうして私は
脚の折れた椅子に
腰掛ける
途端に夢は、あっけなく終わり、
今、誰が見てた?
誰も見ていない
すべては夢だもの
誰も何も見ていない
だから何もなかった
誰も何も聴いていない
だから何もなかった
時の音だけが
唯一の 証人だった
言葉を持たぬその音だけが
唯一の証人だった
だから何もなかった
何も起きなかった
法廷に立つことのできない証人など
いないに等しくて、
世界はそうして
廻り続けてる