2014年10月13日月曜日

かつて居た場所


娘の三者面談の日。少し早めに学校へ行ってみた。
陽が落ちる直前に着いた。校舎はすっかり影の中。しんと静まり返っている。
三年生の廊下だけ、ひとが行き来している。
そうか、今日はみんな下校しているんだったと思い出す。どうりで静かなわけだ。
目を閉じ耳を澄ます。
想像してみる。
生徒たちであふれかえる廊下の様子を。
自分もいつか見た光景を。



そう、自分にも中学三年生という時間があった。
そういう時代が確かにあった。
あの頃はただがむしゃらに、まっすぐすぎる私は、何度も折れて痛い思いをした。
これでもかってほど折れては、その度泣いた。
でも。
あれがあったから、次の高校を越えてこれたんだと思う。
あの三年間がなかったら、中学の三年間の辛さがなかったら。
私は次の三年を、越えられなかった。

面談の順番が来て、担任から報告を受ける。
行きたい高校が決まって俄然やる気を出した娘。結果もそれなりについてきた。よし。
「このまま気を緩めないでね」と担任から言われ、照れくさそうにする娘。
私にできるのは。
彼女を応援することだけ。
「勉強しろって言われるとする気が失せるんだよ!」とぷいっと横向くような娘だけれど、
きっと彼女なりの立ち位置があるに違いない。


そして、ホールに一枚の模造紙。そこに描かれた言葉が、実に懐かしく。
「One for all, All for one」
そうか、時代は変わっても、言葉は残ってゆくのだな。

かつて私が居た場所に
今彼女が居て。

それぞれに思いを刻んでいる。