2014年5月30日金曜日


あれはまだ私がPTSDの症状が酷い頃。
とはいっても、思い出そうとしても断片を幾つかしか思い出せない。

私を撮ってほしいとやってきた彼女。
私の前に立ち、ただそれだけを言った。

何を考えるまでもなく、私は撮ろうと思った。
何故瞬間的にそう思ったのか、何故そんなことができたのか、
今思い返すと分からない。

ただ、
撮ろうと思った。
だから、撮った。

まだ夏になる前の、なのにそれはまるで夏のような日差しの或る日、
私たちは街を駆けた。

何故だろうその時、私にはくっきりと色が見えたのだった。
これでもかというほどの鮮やかな、青。

雲を焼くように、
風を焦がすように、
青は、青、だった。

彼女は今頃どこでどうしているのだろう。

私は、知らない。