あれはまだ私がPTSDの症状が酷い頃。
とはいっても、思い出そうとしても断片を幾つかしか思い出せない。
私を撮ってほしいとやってきた彼女。
私の前に立ち、ただそれだけを言った。
何を考えるまでもなく、私は撮ろうと思った。
何故瞬間的にそう思ったのか、何故そんなことができたのか、
今思い返すと分からない。
ただ、
撮ろうと思った。
だから、撮った。
まだ夏になる前の、なのにそれはまるで夏のような日差しの或る日、
私たちは街を駆けた。
何故だろうその時、私にはくっきりと色が見えたのだった。
これでもかというほどの鮮やかな、青。
雲を焼くように、
風を焦がすように、
青は、青、だった。
彼女は今頃どこでどうしているのだろう。
私は、知らない。