2011年5月6日金曜日

そそり立つ岩壁

砂丘の一番端と思われるところまで歩いてみる。もうこれ以上海に入らずに向こうへ行くことは叶わない、そのぎりぎりのところまで。
そして振り返れば。
そそり立つ岩壁。私は想像してみる。この岸壁も、昔々は砂に覆われていたのかもしれない。覆われて、丸みのある姿をしていたのかもしれない。

砂の流出を何とかして喰い止めようとする人達が、ショベルカーを操って何処からか持ってきた砂を岸壁の上に盛っている。目を凝らして見れば、何人もの労働者がそこにはいて、右へ左へとショベルカーに指示を出している。

もうそこまで、この砂丘は老いさらばえてしまったのか。その思いがつーんと胸に込み上げた。自然が為すことを、人の手などが果たして喰いとめられるのか。私は知らない。でもその労働者たちは黙々と、繰り返し繰り返し運ばれて来る砂を盛り続けるのだった。

それにしても見事な岸壁だ。高さはそうないけれど。荒くれた老人の手のような姿をしている。轟々と唸る風にもびくともせず、そこに在る。
ふと思う。今彼らの眼に、私たちに人間は、一体どんなふうに映っているのだろう。