そこにはかつて、小さな公園があった。ブランコ二つに動物を模った置物。ただそれだけが置かれた、小さな小さな公園だった。
私が子供の頃は、山小屋に来た折、よくそのブランコに乗って遊んだ。漕ぐほどに高く高く揺れるブランコは、そのまま飛び出したら空に飛んでゆけそうな気がして、その頃の私の好きな乗り物の一つだった。
が。
今、その公園は草叢になってしまった。
遊具は錆びて、置き去りにされており。もはや動物を模った置物の姿は草叢に隠れて見えなくなっており。ここがかつて小さな公園だったことなんて、とても思えなくなっていた。
娘が尋ねてくる。
ママ、本当に公園だったの?
うん、ママが子供の頃はね。
今、草しか生えてないよ。
そうだね…誰も草を刈ったり整備したりしなくなっちゃったんだね。
娘はそれでも、草叢の中に足を突っ込もうと、試みている。
私は少し離れて後ろから、その姿を見つめている。
たった三十年。三十年の間に、この土地は様変わりした。
娘の足さえ受け付けないほど、草叢は深く深く深く。
諦めきれない娘が、じっと立ち尽くしている。
私は心の中、自然の再生力に、拍手を送っていた。