2010年12月1日水曜日

闇の中の向日葵

その日Mちゃんとの撮影で、花をたくさん用いた。その花たちは使用後バケツや花瓶にどっさり入れられて、私の部屋に置いてあった。

ふと転寝から目が覚めて見やると、闇の中、黄色い黄色い向日葵が、ぼんやり浮かんでいる。まるで自ら発光しているかのような、そんな具合に、闇に浮かんでいる。
私は思わず、その花に見入った。

昼間の光の中では決して気づかなかった、この、向日葵自身の持つ光。それはしんしんと沈黙の中に在りながら、堂々とした光だった。

決して周囲を驚かすことなく、侵すこともなく、淡々とそこに佇み。佇みながらその存在感をいっぱいに現わしている。
私はその姿に、魅了された。

闇の中、ただひたすらシャッターを切った。どう撮れているかなんてその時考えなかった。考える隙間なんてなく、ただ向日葵と対峙するために、私は必死にシャッターを切っていた。

花と対等でありたいなんて思ったのは、それが初めてだったかもしれない。

気づけば夜明けが近づき。すると不思議なことに、向日葵の光は徐々に徐々に弱まってゆき。とうとうふつっと途切れた。

あれは何だったのだろう。闇の中で発光する向日葵。
まるで、これが花本来の力なのだと主張するかのような光だった。