2010年11月15日月曜日

昇りつめた先に、

誰にでも、しんどいときは、ある。しんどいときというのは、何もかもがマイナスに見えて、起こる出来事起こる出来事すべてが下向きに見えて、だからなおさらにしんどくなる。
もうこれでしんどいことは終わりだろ、と油断していると、最後にかっつーんと脳天を叩くような出来事が降ってきたり。だからもう、立ち上がる隙間もないほど、落ち込む。

もう駄目だ、もういい加減駄目だ、これで終わりだ。
そう思って、ばたんと地べたに倒れ伏す。
じっと、倒れ伏して、そうしていると、自然、地べたの体温がこちらに伝わってくる。
それは不思議なほど温かくて。

そして耳を澄ますと、鼓動まで聴こえてくるから不思議だ。
とくん、とくん、とくん。

そうして気づく。
生きてる。まだ生きてる。自分はまだ、こんなになってまでも生きてる。
そのことに、気づく。

そうか、ここは地の底か。堕ちに堕ちた、地の底なのか。そうして上を見やると、点のようにしか見えない僅かな光。まさしくそこは地の底で。
でも、不思議なことに、堕ちるところまで堕ちると、あとは、這い上がるだけ、とも言える。

だから私は登る。地の壁に指を食い込ませ、必死に登る。点のような光の存在を信じて、ひたすら登る。途中、爪が割れることだってあるだろう、登ったつもりが滑り落ちてしまうこともあるだろう。それでも。
点だった光が輪になり、やがて一面光の海になり。

あぁ、ようやっと上がってきたのだ、とあたりを見やれば、それはもう光の洪水で。
そんなとき、私は、あぁ生きてる、と感じることができる。そして自分の心臓が、間違いなく脈打っている、その音を聴くことが、できる。

だから今日も、昇る。一歩、また一歩、時にずり堕ちることがあっても、それでも、信じて昇る。この先にきっと、私の待つ世界が在るのだと、そう信じて。