焼く時はただひたすら
祈りながら焼いた。
何処までも深く深く、誰の事もどんな事をも受け容れるだけの深さが、同時に浅はかさが欲しい、そう祈りながら。
届くだろうか、貴方に、届いてくれるだろうか。
貴方の中のいとおしい景色の破片に、何処かで繋がってくれるだろうか。
もしすぐに繋がることがなくても、仄かに匂いくらいは、そう、まるで残り香のように、貴方の内奥へと、伝わっていって、くれる、だろうか。
そう祈りながら、これらの作品を「幻霧景」と名付け、世界に送り出します。
「幻霧景」と貴方と、しばしの間でも見つめ合ってもらえたら、幸いです。
2005年11月 にのみやさをり/「幻霧景」という名の光景について