2014年4月8日火曜日

脆く儚い日常だからこそ、


いつだって。隣には本があった。活字があった。言葉があった。
幼い頃からの夢は、「本を作るひとになること」だった。
その夢は叶った。私は編集者になった。でも。

そこで性犯罪被害に遭って、私はPTSDを抱え込んだ。
それによって、仕事を続けることができなくなった。
日々襲ってくる幻聴幻覚、眩暈、動悸、フラッシュバック、パニック発作。
ありとあらゆる症状に襲われ、結局職場を離れた。

それでも諦められなくて、私は本づくりの現場にいることに拘った。
何とか、本づくりにかかわっていたくて。ただその一心で。

でもPTSDはどんどん悪化していった。
結局。
働くことさえままならなくなった。

その頃10階のマンションに住んでいた。
もう仕事を続けることさえできなくなって私は、とてん、と床に座って、
ただ床に座って、何日も過ごした。
この部屋から、ベランダから、飛び降りたら。楽に死ねるかも、なんて想像を何度もした。
処方されている薬を全部飲めば、どうにかなれるかもしれないとやってみたこともあった。
でも、全部、失敗した。

私は生き残ってしまった。

そんな日々を越えて、今が、在る。
私は知っている。
日常というものがいかに儚く脆い代物であるかを。
簡単に壊れて崩れてしまうものであるということを。

だから。

私はささやかなものを愛する。
どうでもいい毎日の習慣を。
どうでもいい毎日の会話を。
愛する。