2014年1月17日金曜日

後姿


後姿というのはひとが思っている以上に多くを語る、
と私は思っている。
そのひとが表では隠している言葉を、背中が黙々と語ってしまうのである。
つまり、後姿は饒舌だ。

たとえば。
「いえそんなことありません、こちらこそありがとう」とにっこり笑って去ってゆく誰かの
後姿、肩のあたりを私は見つめる。
その肩の線が語るのだ。
ああなんてこと、残念でならない、こんなことなら・・・。
そんな声がありありと、聴こえてくる。

私は娘の後ろ向きの立ち姿がとても好きだ。
彼女の背中は多くを拒絶する。
そして、なぜか彼女の後姿は寡黙だ。
寡黙であるが故の、確固たる言葉を、持っている、と
私は感じる。