2013年9月21日土曜日

彼女の肖像vol.3~顔のない女 11


失ったものを数え上げたらきりがない。諦めなきゃならなかったものを数え出したらきりがない。
だから私たちは、いつでも、あの日の後、得られたものに感謝する。それらをこそ、数える。眠る前、しんどい時、辛い時、悲しい時、そうした時に私たちは、あの日があるから今の私があるんだ、と、敢えてそう、感謝する。
それが、私たちの、次に進むための「バネ」になる。

あれから一年、今、彼女の体には、あちこちに腫瘍が顕れ始めている。近々彼女は手術の予定が入っている。幾つもできた腫瘍の幾つかを切除する手術だ。そのなかには、神経に絡み付いていて切除が難しいだろうといわれているものも、ある。
線維筋痛症の症状はどんどん悪化するばかりで、最近では痛みの発作に一日中襲われていることも少なくない。
だからこそ。
私たちはやっぱりここに帰ってくる。
「ふたりおばあちゃんになったら縁側でお茶飲もうね」
という口癖。そこに、戻る。