2013年9月14日土曜日

彼女の肖像vol.3~顔のない女 08


「あのことさえなければ、私は今もあの場所で、飛び回ってたのかなぁ、って…」

だから私は、わざと畳み掛けるように言ってのける。

「無理だよ。体力の限界がきて、きっと終わりは来てた。あの事件がなくても、終わりは必ず来てた」
「分かってる、体力の限界は間違いなくいずれ来ただろうって思う。でも、でもね、その日ぎりぎりまで、私は頑張っていたかったの」
「そんなこと言ったってさ、もうどうしようもないじゃん」
「ん、そうなんだよね。どうしようもないんだよね」
「何度言ってみたって思ってみたって、取り戻せるわけもないんだもん。言うだけ思うだけ無駄だよ。やめよう」
「ん、分かってる」