2013年9月10日火曜日

彼女の肖像vol.3~顔のない女 06


私は話を変えたくて、敢えて訊いてみる。

「お母さんの具合はどう?」
「ん、よくない。全然食べてくれないの、食事」
「あなたに「食べてくれない」って言われるっていうのは相当だぁね、そりゃ」
「ん、どんどん痩せてっちゃう。それに身体が痛い痛いって毎日言ってる」
「でもそれはあなたも同じでしょう?」
「ん、同じ。だからお母さんに、身体揉んでって言われても揉んであげることが殆どできない。それでも、揉んでって言うの。だから辛い」
「そんなん、無理なものは無理だもん、しょうがない」
「ん、分かってる…」

一体幾つのことを、受け容れ、認めて、それを重ねたら終わりが来てくれるのだろう。一体幾つのことを失い、諦めたら、終わりが来るのだろう。
きっとそれは、死ぬその日まで、続くんだ。どうあっても、誰であっても。