2013年6月17日月曜日

花迷子-5

 彼女は出会った頃こんなことを言っていた。私、オトナになりたくないんです。
だから今回改めて彼女にそれを尋ねてみた。
すると彼女は、オトナになりたいし、同時になりたくない、と応えてくれた。

「心のなかの神様を大事にできる大人です。
それは多分良心……だと思います。
ひとのことを考える、思いやりをもつ、相手の立場になってみることのできる大人にもなりたい。
オトナになりたくないっていうのは、オトナになると大事なことを忘れてしまう気がするから」

じゃぁどんなオトナになりたいのかと彼女に尋ねると、彼女はしばし考えた後こう応えてくれた。

「人に流されない人間でありたいです。自分の意思を持ち続けられる人でありたいです」

(「花迷子-6」へ続く)