2013年6月6日木曜日

花迷子-2


その朝早く、私達は家を出た。まだ日が昇る前の時間、私達はめいめい自転車を飛ばし、目指す場所へと急いだ。
日が昇る前に少しでも何枚か撮っておきたいと思ったからだ。
びゅんびゅん飛ばす私の運転を、眼を丸くして、果ては笑い出し、それでも必死について行こうと懸命にペダルを漕ぐ彼女。その無心の一生懸命さは、彼女がいつも他者に対して持つものだった。
そう、彼女は常に、全力で他者と対峙する女の子だった。相手がどう斜に構えていようと関係ない、自分は真っ向勝負する、という気概がいつも彼女の肩あたりに感じられた。私はそんな彼女がとても好きだ。だからこそ、彼女の奥底を覗きたくなった。

(「花迷子-3」へ続く)