2013年5月23日木曜日

彼女の肖像2-7

本当は。
もっと撮りたい、彼女を追っていたい、彼女を見つめていたい。でも。
私達に残された時間は、あと僅か。
強い北風は、容赦なく彼女の足から体から温みを奪う。それとひきかえに足には痛みが残される。それはどんどんどんどん強くなり塊になり。
なのに。
彼女は自分からもう終わりにしようと言わない。見かねた私が、今日はこれで終わり!と宣言する。
「どう?歩ける?痛みは?家戻ったらお風呂沸かす?」
「ん、いや、シャワーでいい」
「水貯めた方が楽じゃない?」
「ううん。痛み出したら、もう、あっためても何しても変わらないから。足洗えればそれでいい」

私は彼女が持っていた荷物を代わりに担ぎ、彼女は杖だけになって、二人元来た道を歩き出す。
(「彼女の肖像2-8」へ続く)