2013年5月8日水曜日

彼女の肖像2-3


四月の朝、その日の朝は冷え込んでおり。彼女は杖を持って、私はカメラを持って、外に滑り出した。しかし、まだ二、三度シャッターを押しただけの時点でもう、彼女の足は外気の冷たさで痛みを発し始めていた。
「大丈夫?」
「うん、もうちょっとなら」
彼女のその言葉を頼りに、私は辺りに視線を走らせる。次何処なら彼女が座れそうで、何処なら彼女が歩いて届けるか。その間に彼女は、片手に杖、もう片手をガードレールに沿え、必死に足を前に進める。
彼女の足首を後ろからじっと私は見つめた。二年前の秋、私達がまだ写真を撮り始めた頃、同じような場面があった。あの頃も確かに彼女は杖を持っていた、が、それはまだ、杖を頼りにしていたわけではなく、あくまで添え物として杖があった。でも今は。杖は大切な大切な支えとなってしまっている。それが、現実。
そして彼女の足首を見て、私は心の中舌打ちした。明らかに太さが違った。あの、二年前の秋の彼女の足首は、折れそうなほど細く尖っていた。でも今は? ぱんぱんに浮腫んで、足首が半ば埋もれてしまっているという状態。両足共に。
「寒さが痛い」
彼女が呻く。
「もうちょっとだよ、ほら、あそこに座ろう」
私は声を掛ける。

(「彼女の肖像2-4」へ続く)