2011年11月21日月曜日

ゴール

バスケットゴールと言っていいのだろうか、他に正式な呼び名があるのだろうか、私は知らないのだけれど。
そのゴールは公園の端っこに置いてあった。小学生ばかりが集う公園の端っこ。そのせいか誰かがそのゴールで遊んでいる姿を見ることはほとんどなかった。

それでもそのゴールはそこに在って。
私は以前からとても、気にかかっていた。

友人と公園で撮影をした折、ふと思いついてゴールに登った。
登った先で見る光景は。
これまでの景色とは全く異なる、一段高いところから見る景色で。埋立地の高層ビル群はぐいと近づいて見え、周囲のこれまで高いばかりだったマンションも今度は見下ろす位置になり。全てがすべて、違って見えた。
思わず写真を撮るのも忘れ、きゃぁきゃぁ声を上げて喜んだ。友人が呆れながらくすり笑った。あんたはもう、高いところに登ると我を忘れるんだから。

そうして数年後。
ゴールは撤去された。
私が登ったことなど誰が知るわけもなく。あっさりと撤去され。

もう公園に、そのゴールは、ない。