2011年8月26日金曜日

幻霧景Ⅰ-14

おもむろに樹に寄りかかる彼女と、高みを見つめる少女と。
彼女らをフレームに捉えながら、私は思っていた。

私たちに懐かしい場所があるとして。
もちろん誰しもにそれは在るだろう。たとえば祖母の庭、たとえば母の懐、たとえば。
でもそうじゃない、もっともっと深い、懐かしいの根底にある何か。
それをどうやったら形にできるだろう。

爽やかな風が鳥たちの囀りを乗せて芝生を渡ってゆく。