2011年7月11日月曜日

幻霧景Ⅰ-02

まだ公園の街灯は点いたままだった。
うっすらと霧が出ており。まだ私達の他に誰ひとり公園にはいなかった。

私達は別に、どんなふうに撮ろうとか、どうやって撮ろうとか、そんな話は事前に一切しない。彼女たちが自由に動き回るのが基本で、それに対して私が時々、もうちょっとこっち来て、とかもうちょっとだけ後ろに下がってみて、と声を掛けるのみ。
それがいつもの私達のスタイル。

そんな私と彼女との間で、その少女は何を感じていただろう。
何を質問してくるわけでもなく、すっと立って、私達の間を往ったり来たりしながら間合いを計っている。
まだ五歳の彼女の動きは絶妙で。私はカメラを構えながら、思わず、よしっと声を掛けてしまう。