2011年6月27日月曜日

祈々花々Ⅱ

ひとりで西の街にぽつりと暮らしている彼女は、よく声を失った。酷い悪夢やフラッシュバックに魘される日々を過ごすと、気づけば声が失われていた。
殆ど聴き取れない、掠れた声で必死に、電話を掛けてくる、彼女の声を今、ありありと私は思い出す。

私がこのシリーズに「祈々花々」と銘打ったのは何故だったんだろう。気づいたらそうしていた。
花を胸の前に抱いて立つ彼女は、私のファインダーの中、小刻みに震えていた。それでも彼女は黙ったまま、必死に両足を踏ん張っていた。
そんな彼女の姿に、私は自然、祈っていた。どうか彼女の心が体が、これからの戦いにも耐えてゆけますよう、どうか彼女がそんな戦いを、越えてゆけますよう。

そして気づけば私はこれらの写真に、「祈々花々」と名づけていた。