2011年5月30日月曜日

破れ敗れて

気づけば自分の足元から伸びる影の長さがどんどんと長くなっており。
あぁ、あっという間に日暮れだ、と気づく。
それでも風は、緩むことなく唸り続けており。髪に手をやれば、じゃりじゃりと砂の鳴る音がするほど。鏡を見なくても分かる、きっと顔中砂だらけだ。

砂紋の合間合間、砂の薄い所を狙って野草がひゅるりと芽を出している。地面に顔をすりつけるような姿勢でもって、彼らは風をうまくやり過ごしており。きっと彼らはここでしっかり生き延びるんだろう。砂がさらに薄くなった場所へ根を伸ばし、手を伸ばし、そうして陣地を広げてゆくに違いない。

海の中もずいぶん変わった。以前はこんな、石ころだらけの海じゃなかった。厚い砂がたっぷりと裸足の足を包み込んでくれたものだった。
そうやって、何もかもが変わってゆく。

世界も。
海も。
砂も。
人の、心、も。