2011年5月19日木曜日

突き刺さり、

ふと見れば、砂紋の只中にぐさり、一本の棒切れが突き刺さっている。その根元からは血が流れたろうか。乾いた砂が棒を取り巻くばかりだけれど。きっと突き刺さったその時は鮮烈な血が流れたに違いない。そう思わせるような痛々しさがあった。

そういえば以前、友人とここに来た折には、こうした流木を集めて焚き火をしたのだった。轟々と唸る風に、火は容赦なく燃え上がり。私たちはその火を黙ってただ見つめていた。

砂紋が生まれ得るだけの砂の量が保たれているのは、今この場所でどのくらいなんだろう。年々その域が狭まっているのは確かだ。今日それを改めて痛感する。私の老いとこの砂丘の老いと、どちらが早いだろう。

しゃがみこんでシャッターを切ろうとする私の顔に、容赦なく砂風は襲って来て。眼も開けているのが苦痛になるほどにそれは激しく。
今おまえたちは、泣いているのか。それとも怒っているのか。