2011年4月29日金曜日

再訪

その日、砂丘は晴れ渡っていた。強い風がきゅるきゅると吹き荒んでいる。風には砂粒が混じり、私たちをぱしぱしと叩いた。眼を開けているのが困難だった。

それでも。
久しぶりに訪れたその地に、私は気持ちが昂っていた。ただ嬉しかった、再会が嬉しかった。あぁまたこの地に来ることができた、そのことが嬉しかった。

しかし、砂丘は予想通りまた姿を変えており。流砂を防ぐために幾重にも巡らされた柵。足の踏み場もないくらいに。どうしてこんな姿におまえはなってしまったのだろう。いや、どうしてこんな姿におまえはさせられてしまったのだろう。

砂に足をとられながら、それでも歩いて歩いて歩いて。
私たちはとにかく砂丘を歩き回った。
何となく砂上にしゃがみこんだその時、一掴みの雲がちょうど眼の前を流れてゆくところで。
眩しい陽光を浴びて虹色に輝く雲は、瞬く間に空を流れてゆく。私はシャッターを切る。その間にも私の顔を耳を鼻を、砂粒を抱いた風が叩いてゆく。
この美しい砂紋を味わえるのは、もしかしたらあと数年きりかもしれない。そんな予感が私の脳裏を過った。