2010年12月21日火曜日

終章

物語にはいつでも、終わりがある。
それは写真にもきっと、同じ。

波に飲まれてずぶ濡れになった私と、同じくずぶ濡れのモデルになってくれた彼女と、ぶるぶる震えながら焚き火を囲む。
冬の海は、入っているときはとてもあたたかい。ぬくい。でも一度海から上がると、とんでもなく寒い思いをするのが常だ。この時もそうだった。震えながら、歯をかちかち言わせながら、それでも私たちは何となく、笑っていた。

今日できることは全部やった。
そんな気がしていた。
だから笑えたんだろう。自然に。
笑っていたんだろう。

気づけば夕暮れに近い頃合になっており。
私たちは砂浜で着替えながら、海を見ていた。

どんどんどんどん深く濃くなってゆく海。
まるでそこだけ一段二段、闇が深いかのような。

その時、はっとした。終わりを撮らなくては。と。
その時の私たちにとっての終わりは何だろう。

それがこの一枚。
《地平Ⅱ》の写真たちは、この写真で終わりを迎える。