2010年7月6日火曜日

「いつのこと」

娘が貪っているお菓子をすっと取り上げると
娘は火がついたように泣きだします

泣いて泣いて泣いて
泣いて泣いて泣いて

あまりに真っ赤になって泣くもので
鼻血がぶわっと噴き出してきて

わたくしは
拭いてやりながら
己に問うのです

こんなになってまで 何かを
欲したのは いつだったかしら

切なくなってわたくしは
娘にお菓子を渡します
この一切れでもうお終いにしようね、と

娘は涙でぐしょぐしょの
顔を崩して笑んで笑んで
片手でわたくしの腰を抱きながら
お菓子をつついと啄みます

娘にそうして抱かれながら
わたくしはますます切なくなって
そっと娘の腕を離し、己に呟いてみるのです

何かを得て或いは失って
こんなにまで喜んだのは いつだったかしら

いつ だった かしら